【ビジネス環境の世界番付】2015年のマレーシア世界ランキング

国民1人当たりの名目GDPが1万1000ドルを超え、世界経済の影響を受けながらも堅調な経済成長を見せた2015年のマレーシア。世界の目線でマレーシアの経済環境はどのように評価されたのか、2015年中に発表された5つの経済レポートからマレーシアの今をみる。

1.「Doing Business 2016 (ビジネス環境の現状)」
マレーシア18位、日本34位

2015年10月、世界銀行が発表した「ビジネス環境の現状2016:質と効率の評価(Doing Business 2016: Measuring Quality and Efficiency)」ではビジネス活動における規制や制度的環境を比較評価し、各国のビジネスのしやすさをランキング化している。国別総合評価でマレーシアは昨年の順位と変わらず18位、日本は昨年の29位から34位にランクを落とした。日本とマレーシアを比較すると税制面や起業のしやすさでマレーシアが優位に立っている。

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2.「国際競争力レポート (Global Competitiveness Index: GCI)」日本6位、マレーシア18位

2015年9月、世界経済フォーラムが発表したThe Global Competitiveness Report 2015-2016(国際競争力レポート)によると、マレーシア18位(昨年は20位)。日本は昨年に続き6位とトップ10入りした。このレポートはインフラ・教育・労働市場・金融サービス・ビジネスの洗練度などの項目において経済指標やアンケート調査に基づき競争力を点数化している。日本とマレーシアを比較すると、健康、初等教育、インフラ、マーケットサイズなどで日本が優位に立っている。

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3.「基準収益能力指標(Baseline Profitability Index: BPI)」マレーシア6位、日本74位

基準収益能力指標(Baseline Profitability Index: BPI)」はThe Foreign Policyグループが国際投資家向けに発行する指標で、主に国別の投資収益性を示している。この指標は投資家向けであるため将来の経済成長や収益性、投資家保護制度や汚職度合などについて指数化してランキングされている。マレーシアは6位となり今後も魅力的な投資先であると示された。日本は74位ということで投資先としては大きく差が開いている。

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4.「持続可能な都市指標 (Sustainable Cities Index)」東京23位、クアラルンプール26位

持続可能な都市指標 (Sustainable Cities Index)」はオランダのコンサルティング会社ARCADISが発行する指標で、世界31か国から主要50都市を対象に「社会」、「環境」、「経済」の3つの側面から評価を数値化している。「社会面」では健康、教育、所得など、「環境面」ではエネルギー消費、再生可能エネルギー活用、リサイクル率、環境汚染度など、「経済面」では交通インフラ、ビジネスのしやすさ、経済ネットワーク、都市GDPなどマルチな視点で都市ごとの評価を浮き彫りにしているのが特徴。

2015年版ではクアラルンプールは26位、東京は23位。

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5.「2015年世界人材レポート(IMD World Talent Report 2015)」マレーシア15位、日本26位

スイスのビジネススクールIMD(国際経営開発研究所)が発表した「2015年世界人材レポート(IMD World Talent Report 2015)」では世界61か国を対象に「投資や人材開発」、「よい人材を引き寄せる魅力」「レディネス(準備)」の3つの側面から評価して順位付けしている。この最新レポートによると、マレーシアは15位、日本は26位にランク付けされている。5-worldtalent

激しくなる国家間のランキング競争

今回ご紹介したレポートにおいて、マレーシアより常に上位にランクされているのがシンガポールだ。シンガポールは世界中から投資を呼び込むため戦略的に様々な指標でトップクラスにランキングさせるように取り組んできた。国際間の競争が激しくなる中、競争相手国と比較して自国の弱点があれば即座に改善を施してきた結果が国民1人当たりの名目GDPで世界9位の実績へとつながっている。gdpranking20141

マレーシア投資開発庁(MIDA)が発表する「Malaysia Ranking」でも見られるようにMIDAは様々な公的機関、民間企業が発表するレポートや指数を常に定点観測しており、マレーシア政府の経済プランにおいて各指標の改善に取り組んでいる。シンガポールを1つのモデルケースとしながら世界中を見渡して自国にとってのベストプラクティスを取り込み国際間競争を勝ち抜いていく姿勢が不可欠ということだろう。各指標で足踏みしている日本にとっても学ぶべきところは多いはずだ。


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