オールジャパンでインバウンドをねらえ!

旧正月(春節)の間、クアラルンプール市内はお正月の東京と同じように閑散としていた。この時期、マレーシアの人々はどこへ向かうのか。

タイ旅行がダントツ人気
マレーシアのニュースサイトや宿泊予約サイト(Agoda)によると、旧正月中の国外旅行先で人気ナンバー1はダントツでタイ王国。マレーシア人の国外旅行先ランキングにてトップ10のうち、6か所がタイ王国なのだ。

1. バンコク (タイ王国)
2. ハジャイ (タイ王国)
3. シンガポール
4. クラビ (タイ王国)
5. バリ (インドネシア)
6. プーケット(タイ王国)
7. バンドゥン(インドネシア)
8. ホアヒン (タイ王国)
9. ジャカルタ (インドネシア)
10. リペ島 (タイ王国)
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通年で見てもマレーシアからの旅行先として人気の国は圧倒的にタイ、そしてインドネシア、中国、シンガポールと続く。アクセスが良く、言葉の問題や食事(ハラル)の問題も少なく、飛行機で2時間ほどで到着する近距離エリアに底堅い人気がある。

マレーシアからの旅行先

日本へのインバウンドも健闘
近距離人気の中、日本へのインバウンド(日本への入国)も健闘している。マレーシアからの訪日客が2年で倍増する理由にも書いたように、1. 円安トレンド、2. LCCの参入、3.ビザの取得免除、4. 世帯収入の上昇など好条件に加えて、官民を挙げた日本への観光誘致活動の成果もあり、2014年はマレーシアから約25万人の訪日数を達成、前年比35.6%の大幅伸長を記録している。タイやインドネシアがマレーシアから毎年120万人以上の観光客を呼び込んでいることと比べるとまだまだ規模は小さいが確実に日本ファンを増やしている傾向が見える。

マレーシアからの訪日数

ライバル国と差別化しやすい日本の観光資源
2時間で行けるアジアの人気スポットではなく、わざわざ3倍以上も時間がかかる日本に行くとなるとそれなりの動機が必要になる。それに長距離旅行となれば、中東やオーストリアの観光地も日本のライバルに浮上してくる。幸い日本には他国の観光地と十分に差別化できる観光資源が山ほどある。あらゆるメディアを活用して、多彩な日本観光の価値をマレーシアの消費者に広められるかどうかが、今後も日本への旅行者数を伸長させる1つの鍵となるだろう。

マレーシアの旅行博「MATTA FAIR 」
マレーシアの旅行好きにとって楽しみとなっているイベントが、毎年9月と3月にクアラルンプールで開催されるマレーシア最大の旅行博「MATTA FAIR (マッタフェアー)」だ。この期間中、会場では世界中から旅行会社や観光地の自治体などが集合し、各地への旅行をアピールする。昨年9月の当イベントには約82,000人の一般客が来場した。

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「MATTA FAIR」 は見本市ではなく、”旅行即売会”
中国(上海)の中国国際旅游交易会(CITM)や韓国の韓国国際観光展(KOTFA)は見本市の位置づけとみられているが、マレーシアのMATTA FAIRは一般消費者が参加する旅行即売会という位置づけとなっている。つまり、マレーシアの来場者はバーゲンセールされている旅行ツアーやお得なチケット等を目当てに参加している。

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商売上手な中国の旅行会社などはこの3日間で大量の旅行商品を販売する。まさに書き入れ時なのだ。日本の自治体がブースを設けて観光地の紹介をしているが、旅行会社と組んで格安ツアーパッケージを用意しておかなければ来場者にとっては少し物足りない印象となるだろう。日本の展示ブースで情報を仕入れた来場者が中国のツアー会社で日本の旅行を申し込んでいる様子も見られた。せっかくならオールジャパンで商談を獲得したいものだ。

インバウンドをけん引する個人旅行者をターゲットに
日本政府観光局(JNTO)によれば、マレーシアからの旅行者のうち、約58%は団体会社ではなく個人旅行者で、その比率は年々高まってきている。旅行博やインターネットの情報サイトで消費者はみずから情報を収集している。そのような旅行好きの消費者が日本に興味を持ち、日本の価値に気付いてもらうための「伝達力」、そしてビジネスとして成立させる「実行力」が人口減少で縮小していく日本の経済を補って余りある成果に導いてくれることだろう。

今年も2015年3月13日~15日にクアラルンプールで開催される「MATTA FAIR 2015」。日本の将来をつくるオールジャパンの活躍に注目したい。

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