「セブン-イレブン マレーシア」の正体とは

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クアラルンプールでよく見かけるコンビニといえば「セブン-イレブン」。
米国で生まれたセブン-イレブンだが、いまや日本の店舗数は米国の2倍以上となり、そして今、アジア各国で店舗数を拡大させている。マレーシアのセブン-イレブンは1,745店舗。そして、セブンイレブン マレーシアはマレーシア国内のコンビニ市場の8割のシェアを押さえている。seven-world

どのようにして独占的なポジションを得られたのか
マレーシアでは外資の参入緩和を進めているが、コンビニエンスストアについては依然として厳しい外資規制がしかれている。外資コンビニ会社はマレーシアで直接投資はできないので、日本のコンビニ会社も直接参入することはできない。参入する場合はローカル資本のパートナー会社に経営を委ねる必要がある。

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その結果、ローカル資本は外資コンビニの脅威にさらされることなく店舗を拡大し続けることができた。マレーシアでセブンイレブンを運営するローカル資本、それが「ベルジャヤ・グループ」だ。

マレーシアの巨大企業グループ「ベルジャヤ・グループ」(BERJAYA)
セブンイレブン、スターバックス、クリスピークリームドーナッツ、ウェンディーズ、ユーモバイル、マツダ・・・名の知れたブランドの数々だが、これらには驚くべき共通点がある。それは、マレーシアではこのすべてのブランドが「ベルジャヤ・グループ」のもとで経営されているということだ。
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1984年、ジョホール出身の華人ビンセント・タン氏によって創業された「ベルジャヤ・グループ」は不動産、金融、ホテル、宝くじ、飲食業、旅行産業など幅広く事業を展開し、従業員17,000人以上を抱える巨大企業に成長した。グループの組織構成図を見るとその複合事業の広さがよくわかる。
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ベルジャヤ・グループ傘下で躍進する「セブン- イレブン」
日本では複数の大手コンビニブランドが熾烈なシェア争いを行っているが、ここマレーシアではセブン-イレブンの独壇場となっている。さらに、昨年「セブンイレブン・マレーシア」はマレーシアの株式市場で上場を果たした。その資金をつかって今後3年間で600店舗を新設する計画を発表するなど勢いに乗っている。

セブンイレブン ジャパンとの資本関係はゼロ
躍進するセブンイレブン マレーシアだが、100%ローカル資本(ベルジャヤ・グループ)で経営されているので、セブンイレブン ジャパンとの資本関係はゼロ。また、セブン&アイ・ホールディングス事業概要によると、セブンイレブン・マレーシアはセブンイレブン(米国に)にライセンス料を支払う契約になっている。セブンイレブン・ジャパンはライセンス料をセブンイレブン(米国)を通して間接的に得ているにすぎない。 seven-world4

看板は同じでもその正体はローカル企業
店舗の看板は「セブン-イレブン」であっても日本のセブンイレブンとは経営母体が大きく違う。日本からの資本も入っていないので経営的に関与することはできない。ベルジャヤグループ創業者のビンセント・タン氏が中華系マレーシア人であることを踏まえるとむしろ中国企業とのパイプのほうが太い。日本とマレーシアで店舗運営や商品戦略が大きく異なるのはそのためだろう。日本で高度に進化した「セブン-イレブン」だが、マレーシアではマレーシアの独自路線を進んでいるように見える。

TPPで開かれるマレーシアでのコンビニ市場の可能性
飽和状態に近い日本のコンビニ市場と比べて、マレーシアでは人口と所得の増加、消費の拡大、都市化率の上昇などにより、今後も年率10%のペースでコンビニ市場の成長が予測されている。セブン-イレブン マレーシアの創業から約30年経った2013年、「サークルK」がマレーシアに新規参入した。また今後マレーシアでTPPが発令されることによって、日本からの外資規制が30%を上限に緩和される見込みだ。

サークルKのように日本のコンビニ仕様を数多く取り入れたコンビニやローカル資本が生み出す新たな商品やサービスが健全な競争環境で切磋琢磨していくことで、日本とは一味違うマレーシアらしい多様性に富んだコンビニ市場へと成熟していくことを期待している。

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