今年、25か所に新駅ができる街

アラルンプール市内から南西に15kmほどの距離にあるSHAH ALAM(シャーアラム)、Subang付近ではLRT (高架鉄道)の建設工事の最終段階となっている。newstation2

マレーシアの公共輸送資産会社Prasaranaが2016年4月に発表した内容によると、延伸されるKelana Java線は2016年6月30日から開業されるということだ。このKelana Java線は同じく延伸されるAmpang線と接続される予定で、この地域だけで25か所に新駅が誕生することになる。

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上の写真に書かれている黄色のサインがすべて新駅の場所。この写真からだけでもこの一帯があと激変することがお分かりいただけるだろう。この地域は朝と夕方の通勤ラッシュで慢性的な渋滞に悩まされているが、この延伸によって生活や通勤スタイルを一変させることになりそうだ。

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建設予定の駅舎は近代的なデザイン

収入が増えても、住宅価格の上昇に追いつけない

この新駅の開設にあわせて次々に高層ビルやコンドミニアムの建設が進んでいる。クアラルンプール中心部の物件はこの10年で約2倍に値上がりしており、マレーシアの中間所得層にはとても手がでせない。そこでSHAH ALAM(シャーアラム)のようなクアラルンプール近郊の物件に人気が出るのだが、この一帯でも年を追うごとに住宅価格が値上がりしており、世帯収入は増えているがいつまで経っても自宅を持てない世帯が急増して社会問題化している。比較的若い世代に不満が多い。

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マレーシアの平均住宅価格

2014年からバブル抑制措置を展開

このような状況を受けて、マレーシア政府は2014年以降、住宅価格高騰の要因の1つとなっている投機的な不動産投資を抑制する措置にうってでた。外国人が購入することのできる不動産最低額を50万リンギから100万リンギに引き上げたうえに、不動産利得税(RPGT)の増税を実施。さらにセランゴール州では2014年9月から外国人が購入できる住宅の一部を200万リンギに引き上げるなど州単位でも冷却措置が取られている。 外国人投資家は狙い撃ちされた格好だ。

不動産価格の上昇は鈍化、外国人投資家のメリットは減少

 現在、この冷却措置の効果が徐々に様々な指標に表れ始めている。ジョホールでは過去2年で初めて前四半期比で 1.6%下降した。(メイバンク・インベストメント・バンク(IB)リサーチ発表)100万リンギ(約3300万円)以下の価格帯の物件についても売れ行きが停滞気味で、セランゴール州でも過去3年間に販売した50万~100万リンギお価格帯の住宅の31%が売れ残っているという情報もある。

新興国での不動産投資はコンドミニアムなどの建設計画段階で青田買いをして、完成時の値上がりでキャピタルゲインを得ることを目的していることが多いが、上記の冷却処置で投資妙味はかなり薄れてしまった。今後は新築物件のキャピタルゲイン狙いではなく、中古市場や賃貸住宅などを手掛ける投資家が増えていくのではないだろうか。New Station

駅を中心とした新しい生活スタイルへ
大手調査会社ニールセンの発表によれば、マレーシアの車の保有率は93%で世界で3番目に多い。実際にマレーシアに住んでいるとよくわかるが、完全な車社会ということがいえる。車がないとちょっとした買い物も不便だったりするが、車を持つことがステータスの象徴という側面もある。続々と新駅が完成する2016年。駅を中心とした街並みへ変化するとともに、生活スタイルや価値観も大きく変わっていく。そこにはまた新しいビジネスチャンスも生まれることだろう。
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Issued by 「マレーシア ソーシャルナビ 2016」