クアラルンプールとシンガポールをつなぐ高速鉄道計画

クアラルンプールとシンガポールをつなぐ高速鉄道計画。クアラルンプールからマレーシア国内の7か所の駅を経由して、約1時間30分でシンガポールまでの310~350kmを結ぶ一大プロジェクトだ。総工費は384億リンギで、2020年までの完成を目指す。

2014年10月に東京で開かれた高速鉄道国際会議に出席したマレーシア公共陸運委員会(SPAD)の議長によると、早ければ2015年下半期に入札、同年中に着工が見込まれているという話だったが、2015年5月、シンガポールのリー・シェンロン首相とマレーシアのナジブ首相が行った共同記者会見で入札は2016年以降にずれ込む見通しだと明らかにした。HighSpeedRail2

日本は官民一体で「新幹線」をアピール

この高速鉄道計画の落札を目指して中国や欧州各国の動きもあわただしい。日本は2014年11月にマレーシア政府要人を招いて、クアラルンプール市内で国土交通省主催の「マレーシア高速鉄道セミナー」を開催。2016年4月29日にも「第2回新幹線シンポジウム」を開催し、官民一体で新幹線の高い技術、安全性、運用コストの低さなどをアピールした。また、安倍晋三 首相はASEAN会議などでナジブ・ラザク首相と首脳会談を行うたびに、日本の新幹線導入へ期待を伝えている。

Shinkansen

インドでは新幹線方式が採用される予定

 2015年12月、日印両政府はインド西部の最大都市ムンバイからグジャラート州アーメダバード間を結ぶ高速鉄道計画で、日本の新幹線方式を採用することで合意する見通しとなった。新幹線技術の輸出は、2007年開業の台湾高速鉄道以来。日本はインドネシアでの高速鉄道建設計画の受注競争で中国に競り負けており、インドでの巻き返しに期待が集まっていた。

激しさを増す、各国の受注合戦


クアラルンプールとシンガポールをつなぐ高速鉄道計画に対しては、日本以外にも中国、フランス、ドイツ、イタリア、スペインの企業が関心を示しているとされる。また、マレーシア-シンガポール間やインド、タイなどアジア諸国には高速鉄道計画が目白押しで、構想段階も含めると計画の総延長は約1万キロに上るといわれている。今後ますますこれらのプロジェクト受注を目指した各国のトップセールスや民間企業の動きが激しさをましていくことだろう。この高速鉄道計画の受注は単に鉄道というハードインフラの建設だけにとどまらない公算が大きいからだ。

新幹線の先にあるもの

コアとなるハードインフラとして鉄道建設や自動料金収受システムの受注に成功すれば、その鉄道事業から派生するソフトインフラ事業として、例えば、鉄道の運行システムの保守・運用、人材教育、駅構内の売店やホテル、ショピングセンターなど設計・運営、座席の予約や発券システム、ICカードと連動した電子マネーや決済システムなどの獲得でも有利になる。つまり、高速鉄道計画は新幹線というハードインフラの輸出だけではなく、ソフトインフラの輸出のチャンスでもあるということだ。そして、ソフトインフラは最初にデファクトスタンダードを勝ち取った国と企業がもっとも有利になる。

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乱立する交通系ICカード
輸出するソフトインフラとしてSuicaのような電子マネーや決済システムはその中核となる可能性が高い。日本国内だけでも都市ごとに交通系ICカードが乱立し、最近になってようやく相互利用できるようになった経緯があるが、アジアはまさにICカードが乱立して混沌としている状況だ。非接触型ICカードだけでもType-A、Type-B、Type-C (FeliCa)と3種類あり、SuicaはType-Cとなるがアジアはコストの安いType-Aを採用している国が多い。ちなみにマレーシアの使用されているTouch’n Go(タッチアンドゴー)はType-Aとなっている。HSR_Plan

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マレーシアで使用されているプリペイド式の電子マネー「Touch’n Go」

世界に誇れる、日本の社会インフラパッケージ

日本では当たり前のように使われている安全で正確な鉄道技術、それからICカードを活用した決済システムなどのソフトインフラを丸ごとパッケージ化した日本発の社会インフラは世界に誇れる輸出品になることだろう。それに、もし多くのアジア諸国で導入される電子マネーとSuicaやICOCAが相互利用可能になれば、日本を訪問する外国人旅行の利便性向上は計り知れない。2015年のマレーシア・シンガポール間の高速鉄道の受注獲得によって、日本発の社会インフラがアジア各国に広がり、国境を越えて多くの人々が当たり前のように共通のサービスを利用している、いつかそんな街を歩いてみたい。

<もっと知りたい方におススメの本>
マレーシアビジネスガイド
マレーシア ビジネスガイドの最新版!(2015年6月発行) マレーシアの経済、ビジネス環境を知るためには欠かせない一冊です。

Issued by 「マレーシア ソーシャルナビ 2016」

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