マレーシアの多様性とは、多様な人種、多様な宗教、多様な文化、多言語、多様な食文化を意味している。
19世紀の英国植民地支配の結果、マレー人社会に労働者として中国人とインド人が移住してきたが、マレーシアの人たちは多くの外国人を柔軟に受け入れて、世界でも類を見ない政治的に安定した多民族国家を作り上げてきた。近年になって民族間の融和に少しほころびが見えるところもあるものの、基本的にはマレーシアという国が1つにまとまってこそ最大限の力を発揮することができるということだろう。
街を歩くと「ワンマレーシア」(マレー語では「サトゥ・マレーシア」)と書かれたポスターや看板をよく目にする。
大手企業も好んで採用しているロゴだ。これは2009年4月に任命されたマレーシアのナジブ首相が8月の独立記念日に向けて発表したスローガンで、「ひとつのマレーシアとしてもっと発展しよう」と願いがこめられている。多民族国家であるが、多くの国民が民族融和のもとでの国の発展を願っているということが伝わってくる。
日本人や日本の文化に興味を持ってくれるマレーシア人が多いのは、長い年月をかけて多様性を尊重する風土を築き上げてきたことが影響しているのだろう。
マレーシアの都市部には数えきれないほどの都市開発エリアがあり建設プロジェクトが進行中だが、大型店舗には必ずといっていいほど日本の小売店や日本食レストランの出店が計画されている。今後ますます多様化しながらも、民族の融和が進行するマレーシアでは、日本発のオリジナリティ溢れる商品やサービスを受け入れる下地はすでに整っているし、先行している日本企業は今まさに積極的に投資を行っている状況となっている。